ブックレビュー『「値段」で読み解く 魅惑のフランス近代絵画』(髙橋芳郎 著)

  1. ブックレビュー

■『「値段」で読み解く 魅惑のフランス近代絵画』

髙橋芳郎 著
幻冬舎メディアコンサルティング
1,400円(税別)

アートとビジネスに関する書籍が、数年前からよく出版されるようになった。火付け役と言われているのは、山口周氏による『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』(光文社新書)だ。

ただ、コンサルタントや評論家などが語る「アート」と「ビジネス」の関連は、実践的とは言えない部分もあり、実感がこもっていない部分もある。

『「値段」で読み解く 魅惑のフランス近代絵画』カバーそういう意味で、今回紹介する『「値段」で読み解く 魅惑のフランス近代絵画』は少し毛色が異なるかもしれない。

著者の髙橋芳郎氏は、銀座・京橋エリアで30年弱にわたり「翠波画廊」を経営している。ピカソやユトリロ、マティス、マリー・ローランサン、藤田嗣治などの大家をはじめ、草間彌生やギィ・デサップなど、現代作家の作品も扱っている。

本書では、様々な画家たちの作品と値段に関する話題が豊富に紹介されている。絵画というと、お金持ちの資産というイメージを持つ人もいるだろう。しかし、実際に著者の画廊を訪れる客層は幅広いという。それは、目的はもちろんのこと、年齢、予算においてもだ。

美術品は、たしかに値上がりも期待できますが、それを目的に集め始めると、おうおうにして期待を裏切られるものです。(中略)
だとするならば、不確実な情報に振り回されるより、本当に自分の好きな作品を買うほうがいいのではないでしょうか。無垢な心で買い求めたものこそが、その人にとっての「本物」であり、本当に価値があるものとなります。

本書で著者は、このように述べている。

ブームに乗り、会社などで「アート」と「ビジネス」などと言われても、戸惑う社会人が多かったことだろう。だが、根本的なところは、やはり自分自身がその作品を良いと思うかどうかにある。絵を買う、買わないは別にしても、多くの作品を観ることで、自身の好みを知る。その行動こそが、新たな自分を知ることにもなり、感性を高めることにもつながるのだろう。

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