髙橋芳郎氏(翠波画廊オーナー)インタビュー第2回 アート作品の購入&買取方法、「価値」と「価格」の違いを知る

  1. インタビュー

銀座・京橋エリアで約30年、画廊オーナーを務めている髙橋芳郎氏(翠波画廊オーナー)にインタビューを行った。最終回は、初心者向けにアート作品の購入方法、買取方法、美術品の「価値」と「価格」の違いなどをレクチャーしていただいた。


第1回のインタビューへ

アートリム(以下、AL):

「これからアート作品を買いたい。でも、どうやって買えばいいのかわからない」という方は、結構多いと思います。最初に購入するとき、どのくらいの金額を用意しておけばよろしいでしょうか。

髙橋芳郎氏(以下、髙橋):

当社では10万円程の版画作品から、フランス近代巨匠の油彩や現代美術の作品など数千万円の作品まで幅広く取り揃えています。

ご購入されるお客様の目的もそれぞれなので、購入金額を聞かれると困ってしまいますが、絵は消費財とは異なり部屋に飾って楽しみながら、いつまでも残るものです。予算は二の次にして、できるだけご自身の感性に合って、いつまでも観ていたいと思うものをお選びになられることをお勧めします。

また、相続などのことを考え、次代のご子息に美術品を残してあげたいというご要望で、数千万円の予算で近代巨匠の油絵をご購入されるお客様もいらっしゃいます。反対にご進物として、10万、20万円の予算で絵を探しに来られるお客様もいらっしゃいます。

まずはお気軽にご要望をおっしゃっていただけましたら、1000点を超える作品ストックの中から、お客様のご期待に応えられる作品を一緒にお探しいたします。

AL:

絵を購入する場所は画廊やオークション、どちらが良いのでしょうか。

髙橋:

オークションで取り扱っている作品は、基本的にセカンドマーケット(二次流通市場)ができている画家の作品です。

画廊の場合、セカンドマーケットで取り扱われる画家の作品の販売もしますが、まだ無名でこれから売り出していこうとする若手作家の作品も取り扱っていることがあります。ですから、まだ安い作家の作品を購入し楽しんで、その作家の将来性に期待するという楽しみもあります。

もちろん、セカンドマーケットで流通する作家の作品も、当社では取り扱い販売していますが、ご自身が今まで作品を買い慣れていて、その判断基準をお持ちでしたらオークションで購入されるのも良いかと思います。

ただし、オークションは買い手の自己判断ですべてが決まりますから、一度落札したものは後から難に気づいても返品はできません。落札した作品が偽物だった場合も、オークション会社によって決まりは異なりますが、返品の受付期間があります。

しかも返品するためには、それが本物と認められない証拠を提示しなければいけませんから、プロの美術商でなければ証拠の提示は難しいと思います。その点、信頼のできる画廊で購入した場合は、その画廊がある限り、保証をしてくれるはずです。

お客様が十分な知識を持っておらず、相談しながらゆっくり作品を選んで買いたいという場合は、ご自身に合った画廊を選ばれる方が良いように思います。

AL:

画廊に出かけるときは、事前にこの画廊がどういう作家や作品を扱っているのかを調べるのがいいでしょうか。

髙橋:

銀座や京橋エリアは、画廊がひしめき合っています。各画廊は絵画を扱っていたり、陶器や刀、古美術を扱っていたりと、専門があります。また、絵画にしても日本画なのか油絵なのか、ジャンルが多岐に渡ります。

その中で、ご自身の好みのジャンルを見つけ、その画廊に出かけられるのがいいでしょうね。

AL:

画廊に入るのが敷居が高いと感じる方もいらっしゃると思います。

髙橋:

特にご紹介などもいりませんし、いつでもお気軽にご訪問ください。ご来店いただき、お探しの作品がありましたら、スタッフに声をかけてください。作品をお出しします。

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ArtLimb編集部の編集部員が自ら足を運んで、いろいろなアート情報を紹介しています。

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