2020年10月9日、第650回「毎日オークション」の下見会&オークションが開催された。筆者は、ある企業の役員の方に随行する形で東京会場へ赴いた。東京会場は、TOC有明ウエストタワーにある。最寄駅はJRりんかい線「国際展示場駅」他だ。ビッグサイトにほど近い。
当日は、台風が近づいていることもあり、生憎の雨。そして、コロナ禍ということもあり、参加者は少ないと思っていた。
しかし、金曜という平日にもかかわらず、なかなかの賑わい。もちろん、一般の方はもとより、画廊関係者が多いのだろう。著作権や肖像権の問題もあり、写真は掲載できず、残念だ。
下見会は、実際にオークションに出品される作品を間近で見られる機会。2フロアに分かれ、作品が一堂に会す。その光景は圧巻だ。所狭しと作品が並べられている。もちろん、版画や複製も含まれるが、中には1点ものもある。有名作家の作品が古今東西問わず陳列されているのだから、アートファンはそれだけでも興奮ものだ。
例えば、バンクシーやバスキア、JRといったグラフィティ系、村上隆や草間彌生といった日本人現代アーティスト、佐伯祐三や松本竣介といった日本近代洋画家、シャガールやピカソなどももちろんある。個人的には、武者小路実篤の作品が興味深かった。
オークションは2日に分けられ、この日は初日。14時から始まったが、会場はほぼ満席。会場の参加者は事前に受付をし、番号札をもらう。書面や電話、ネット入札も可能で、係員が代理で札を上げる仕組みだ。
ロットナンバー1からスタートする。女性のオークショニアの滑らかな名調子で、どんどん進行していく。会場から札が上がったり、係員の札が上がったり、丁々発止といってもいいくらいのやり取りは、入札に参加していなくとも興奮ものだ。
個人的に興味深かったのは、猫をモチーフとした作品が想定価格より高いものが多かったことだ。藤田嗣治のものや熊谷守一のものは、なかなか競っていた。もう一つ、池田修三作品が連続して出品されていたのだが、これらはほぼ同じ方が競り落としていた。熱心なコレクターかもしれない。
コロナ禍によりアート市場の影響も懸念されていたが、肌感覚では、思いのほか、杞憂に終わりそうな気がしている。当然ながら、しっかりとした統計データが出るまでは、その実態はわからないが。
オークションへの参加は、一般のアートファンにとって、ややハードルが高いかもしれない。筆者もそれは同様なのだが、下見会とオークションを含め、3時間くらい滞在し、存分に楽しめることができた。
なお、筆者がお供させていただいた方は、初日、入札した作品をすべて落札することができた。翌日は、お電話で参加されたという。