フランスでは3月17日から5月10日までの約2ヶ月間、新型コロナウイルスの流行によりロックダウンしていた。その後、段階的に規制が緩和され、6月には学校が再開し、ルーブル美術館も7月には再開されたのだが、長期にわたり社会活動が休止されていた。
政府は、このロックダウンを定める代わりに、企業、労働者への救済措置を取った。アーティストに対する支援としては、前年の収入に比べた今年度分の収入の差額を最大で毎月1500€まで支給すると発表された。この措置は2020年12月まで続く見込みである。
また、新型コロナウイルスの影響で多くの機会を失ったアーティストのために、国から仕事を発注するという形でアートプロジェクトのコンペティションが行われたり、CNAP(国立造形芸術センター)では通年よりも83点多く現代アート作品が買い上げられ、国のコレクションに加えられた。
私立の財団もアーティスト援助を目的として展示作品を募集するコンペティションを開催するなど、様々な形でアーティストを支援する動きが見受けられる。
フランスを代表するコンテンポラリー・アートギャラリー・ペロタンは、「restons unis(団結していよう)」というプロジェクトを5月から8月にかけて行った。これはロックダウンに伴い展示を中止せざるを得なかったパリの他の26のギャラリーに対し、知名度の高いペロタン・パリで展示の場を提供するというプロジェクトだ。26のギャラリーは4グループに分かれて、2週間ずつペロタン・パリの1区画でグループ展を開催した。
今回の措置は全てのアーティストを救済できるものではないが、もともとフランスではアーティストへの税制が優遇されている等、様々なサービスが充実している。アーティストを育て、守るという体制が日本よりも進んでいるように感じる。