アート・バーゼルとUBSが、ギャラリーにおける新型コロナウイルスの影響を分析する2020年中期調査「The Impact of COVID-19 on the Gallery Sector」を9月9日に発表している。60ヶ国以上、795のギャラリーを対象としたこの調査で、ギャラリーの売上高は前年より平均で36%減少したと伝えた。
今年全体の見通しとしては、79%のギャラリーが売上高の減少が続くと考えている。その半数以上の58%は大幅に下がると予想。2021年に対して楽観的な見方を示すギャラリーはあるが、今年と比べて売上が増加すると予想したのは45%にとどまっている。
一方で、オンラインの存在感が高まっている。オンライン販売のシェアは、昨年の10%から今年度上半期の37%に拡大。これまでオンライン販売のシェアがもっとも低かった年間売上高が500万ドル以上のギャラリーは、今年度上半期にはそのシェアが約5倍に上昇した。
その要因は、新規オンライン購入者の存在が考えられている。今年上半期、オンライン購入者のうち55%は初めてオンラインを利用した顧客で、そのうちの26%は、これまでギャラリーと対面で接触したことがない顧客だった。
オンライン販売の増加は、国際アートフェアでも見られる。例えば、サザビーズのオンライン・セールは、2020年の最初の7か月で前年同期比で540%増加しており、前年全体の3倍にあたる2億8500万ドル(約301億円)に達している。
また、5月4〜14日にオンラインで開催されたサザビーズのコンテンポラリー・アート・デー・オークションでは、1370万ドル(約14億6800万円)の売上を記録。この数字は、同社のオンライン・オークションにおける過去最高額の2倍以上のものだ。
新型コロナ禍の中、アート市場におけるオンラインの存在感が高まっている。