日本初「バンクシー展 天才か反逆者か」全作品撮影可!

  1. イベントレポート

今、世界で最も有名な現代アーティストというと、バンクシーだろう。すでに話題となっている日本初のバンクシーの企画展、「バンクシー展 天才か反逆者か」が「アソビル」(横浜。10月4日まで会期延長)で開催中だ。

さすがはバンクシーだ。会場はおそらく普段、美術館などにあまり足を運ばなそうな人たちも多く盛況。美術館ではなく、商業施設での開催ということに加え、すべての作品が撮影可ということもあり、普段と勝手が違う。

バンクシーはストリート・アーティストといわれるが、グラフィティ・アーティストともいわれる。その作品も「グラフィティ」といわれることが多く、実際、本展の図録にも1994年から「アメリカ・ニューヨークにしばらく滞在しグラフィティ活動を行う」と記されている。

彼の最大の魅力は「覆面」であるということ。何歳なのか、どこにいるのか、誰なのか。詳しくは明かされていないが、ブース入り口すぐに、バンクシーのスタジオが再現されており、フードを深く被った男が座っている。

ただ、これも観ようによっては演出のひとつかもしれない。そもそもバンクシーは1人とは限らないのだから。観る者は、この演出を鵜呑みにしてはいけないのかもしれないし、そう考えさせられることが、もうすでにバンクシーの術中に陥っている証しのかもしれない。

本展では、バンクシーの著名作品をほとんど観ることができる。2019年、バンクシー作品史上最高額の約13億円で落札された《モンキー・パーラメント》も展示されている。

《ストロベリー・ドーナツ》
《ターフ・ウォー》
《モンキ・パーラメント》
《ラブ・イズ・イン・ジ・エア》またの名を《フラワー・スロアー》という

なお、これらの多くはスクリーンプリントである。どういう風に印刷されたのか、本展のビデオ上映でその過程を観ることができる。

バンクシーの作品は、美術のいわゆる難しい解釈は、あまり必要なく感じるだろう。実際、作品を観れば、こういう意図で制作されたのだろう、と想像はつきやすい。それらには、社会や政治への風刺、ペーソスといったものが込められている。

今回、興味深かったのは、「ディズマランド」というブースだ。思わず苦笑とともに、頷いてしまうものがある。しかし、バンクシーは次のように述べている。

ディズニーに対して何か言いたいことがあるわけではない。(中略)『ディズマランド』ブランドはディズニーに関するものではない。

これに関しては、結構及び腰なのだな、という印象は否めない。堂々と言い切れないところに、何かモヤモヤした気持ちが残る。

ショップでは、本展の図録をはじめ、様々なグッズが売られている。Tシャツはまだしも、シャツやパーカー、コートなども売られていたのは驚きだ。反対に、ポストカードなどは一切売られていない。これも、バンクシーのマーケティング活動の一環ともいえるだろう。

これから出かける人は、本展の公式サイトを必ずチェックしてほしい。コロナ禍での企画展ということもあり、チケット購入手続きなどは事前にネットで行う必要がある。筆者は土曜に出かけたのだが、混雑のため、入場までにはやや時間を要した。

なお、10月9日から(2021年1月17日まで)は会場を「大阪南港ATC Gallery(ITM棟2F)」に移す。

バンクシー作品を一堂に観る機会は、そうないかもしれない。今、まさに人気絶頂ともいえるアーティストだけに、ぜひ一度は訪れてほしい。

ArtLimb編集部の編集部員が自ら足を運んで、いろいろなアート情報を紹介しています。

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