ポンピドゥー・センターで「マルセル・デュシャン賞 2020」展が開催中

  1. イベントレポート

マルセル・デュシャン賞は、現代美術の先駆者として知られるマルセル・デュシャンの功績に敬意を表し、その名を冠している。フランス人作家に限らずフランスに在住する最も革新的な作家を対象とし、コンテンポラリーアートの分野でフランスのアートシーンを牽引する作家たちの活動を国際的に紹介し、また鑑賞者にコンテンポラリーアートのバイタリティを紹介することを目的としている。

2000年にADIAF(フランスの現代美術国際化推進会)によって設立されたこの賞では、毎回ノミネートされた4組のアーティストがポンピドゥー・センターで展示をし、その中から1組の受賞者が選ばれる。受賞者には35,000€(約430万円)の賞金が授与される。

今年は賞が設立されて20周年ということと、新型コロナウイルスのパンデミックの中、開催されているという2つの点から特別な年である。今回ノミネートされたのは アリス・アンダーソン(イギリス、フランス出身)、イシャム・ベラダ(モロッコ、フランス出身)、カプワニ・キワンガ(カナダ出身)、エンリケ・ラミレス(チリ出身)の4名である。

アリス・アンダーソンは人工知能に支配される人類の運命に対し、アルゴリズムと身体性について問いかける。ダンスパフォーマンスを介して制作した作品や糸を使った作品を展示している。

イシャム・ベラダは物質的、科学的、生物的な現象を探究する。展示作品《Présage》では水槽の中の化学物質の反応をスクリーンに映し出す。

カプワニ・キワンガは、アフリカの国々の独立に向けた交渉が行われた際に飾られた花を再現した2013年の作品を、今回の展示で再度複製した。

エンリケ・ラミレスは旅、移民、歴史、記憶といった個人的な経験をもとに、「不確かさ」をテーマにインスタレーションで展示している。

なお、現地時間の昨夜、受賞者がカプワニ・キワンガに決定した。ポンピドゥー・センターでの展示は2021年1月4日まで。

MK

フランス在住アーティスト。

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