今、心温まる絵画を日常に「アノラ・スペンス展」

  1. イベントレポート

■翠波画廊(2020年9月17日(木)~30日(水))

現在、翠波画廊(東京・京橋)にて開催中のアノラ・スペンス展。コロナ禍の今だからこそ、「アートで癒しを」というテーマの下、開催されている。

アノラ・スペンスは、1963年イギリス生まれ。テキスタイルデザインを学び、修士号を取得しデザイナーとして活躍していた。30歳の頃より画家に専念。イギリスでの多くの展覧会で大好評を博し、海外でも人気となり、世界中のコレクターに愛されている。

30点ほどのシルクスクリーンの版画作品が展示されている今展では、優しいユーモアがあふれるスペンスの世界を楽しむことができる。どこかクスッと笑ってしまうような作品は、英国紳士らしい登場人物たちが動物たちと日常のワンシーンを作り上げており、観ていると自然と楽しい気持ちになってくる。

また、赤、黄色、青などの大胆な色彩ながら、リラックスできる作品にスペンスの良さがある。はっきりとした色を用いながら、優しい世界観を作り上げる絶妙のバランスだ。

スペンスの作品は、スペンスが日々スケッチブックや写真に残している、日々の生活への鋭い観察の賜物だ。

滑稽であったり、時にはほとんどあり得ないような状況に置かれた風変わりなキャラクターたちの間に、私はいろいろなつながりを探り出します。そのつながりを逆転させることで、絵に込められたユーモアを強めることができ、不条理なものも当然のことのように見せられるのです(アノラ・スペンスの言葉より)

中でも気に入ったのは、こちらの1枚《犬と乳母車》。乳母車に乗っているのは2匹の犬。婦人をじっと見つめる犬の視線が、双子の子供のようでなんとも愛らしい。愛するものと過ごす幸せな日常を、スペンスワールドによって堪能することができる。

気に入った作品を購入できるのも、画廊ならではの魅力。美術館の展覧会では、家に帰って家族と絵を楽しむことはできないが、1枚、お気に入りの作品を購入して家族と心を安らげるひとときを過ごすのも良いだろう。

東京都中央区京橋3-6-12 正栄ビル1F
アクセス:東京メトロ「京橋駅」2番出口より徒歩2分 ほか

ArtLimb編集部の編集部員が自ら足を運んで、いろいろなアート情報を紹介しています。

記事一覧

関連記事