フランス人のストリート・アーティストJRを「ネクスト・バンクシー」として紹介している記事。いよいよ最終回の今回は、JRの代表作《portrait of a generation》について触れてみよう。
なお、第1回と第2回の記事は、下記リンクを参照してほしい。
《portrait of a generation》は、JRの初めてのアートプロジェクトと言われる。2005年のこの作品は、JRの故郷モンフェルメイユの人々を写すことから始まっている。
フランス社会に溶け込めない移民の若者を写真に収め、パリの街中に展示された。違法行為であったこともあり、メッセージ性はさらに強まった。
また、JRはこのプロジェクトで、映画監督ラジ・リの写真も撮影している。ラジ・リは『365ジュール・ア・クリシー=モンフェルメイユ』や『レ・ミゼラブル』(かのユーゴーと同タイトルだが内容は異なる)などの代表作がある。
《portrait of a generation》でJRが撮った写真は、パリ郊外の若者の今を切り取ったリアルな作品だが、なかでもラジ・リのポートレートは観る者に強烈なインパクトを与える。カメラを銃のように構え、我々を見つめるラジ・リの視線は移民の怒りとエネルギーをありのまま伝えているかのよう。
なお、同作はJR作品の中でも人気が高い。2009年のサザビーズでは23,000ユーロ(約300万円)で取引された記録も残っている。
言わずとも知れたバンクシーは、昨年《モンキー・パーラメント》が約13億円で落札された。
まだまだJRはバンクシーほどの知名度を誇ってはいないが、今後、ますます注目されるアーティストであろう。今、流行のグラフィティの中で、アートリム一番のオススメだ。