■ロンドン・ナショナル・ギャラリー展
国立西洋美術館(2020年6月18日~10月18日)
現在、「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」が、東京・上野の国立西洋美術館で開かれています。新型コロナウイルスの影響で遅れたものの、日時指定予約制で好評開催中です。
ナショナル・ギャラリーは、ロンドンの中心地であるトラファルガー広場に建つ、世界屈指の美の殿堂と呼ばれている美術館。イギリスを含む幅広い地域と時代のヨーロッパ絵画を網羅し、13世紀後半から20世紀初頭に至る約2300点が収蔵されています。1824年の創立以来、貧困層も富裕層も誰でも見ることができる、市民による市民のための美術館として愛されてきました。
幅広く名品が揃い、西洋絵画の教科書とも呼べるコレクションの数々ですが、これまで一度も美術館外でコレクション展が開かれたことはありませんでした。そのため本展は、世界初のナショナル・ギャラリー展として大注目。全61点が日本初公開という贅沢な展示となっています。
イタリア・ルネサンス絵画から、自画像や風景画など、それぞれテーマによって全7章に分かれて展示され、章ごとに壁の色を変えるなど、工夫を凝らしています。
作品は、レンブラントやフェルメールといった大家から、イギリスを代表するターナー、そして印象派の巨匠モネ、ルノワールにゴッホやセザンヌなど、誰もが知っていると言っても過言ではない有名な絵画が一堂に並びます。まさに、どの作品も主役です。
そのため、各章のどの画家にも夢中になれる物語が存在します。例えば、第4章のグランド・ツアー。18世紀のイギリスで流行した「グランド・ツアー」は、貴族など上流階級の子息や富裕層がイタリアやフランス、スイスなどヨーロッパ各地を周遊するもので、特に人気が高かったのは、ヴェネツィアです。
そうした旅行者たちが好んで購入したのが、カナレットの描いた都市景観図でした。今回の展覧会でもカナレットの描いた117.2×186.7cmという圧巻のヴェネツィアを見ることができます。
絵画を通して見えてくるのは画家であり、時代であり、文化そのもののようです。
ミュージアムグッズも大充実しています。ポストカードやクリアファイル、一筆箋のほか、ゴッホの《ひまわり》をモチーフにしたグッズも多数。また、通常の図録はもちろん、場所をとらないミニ図録も、展示作品がすべて収録されているため、ちょっとしたお土産にもお勧めです。
世界初の展覧会を、どうぞ日本でお楽しみください。
東京都台東区上野公園7-7
アクセス:JR「上野駅」公園口より徒歩1分 ほか